クラシックカーの世界で名高いポルシェ 356Aについて、その歴史と魅力を詳しく掘り下げていきます。
1956年に登場して以来、その美しいデザインと卓越した性能で自動車愛好家たちを魅了し続けてきた356Aの各モデルのスペックや価格情報も詳しく解説します。
また、購入を検討している方に向けて、ボディコンディションのチェックポイントや現在の市場価格についても触れていきます。
クラシックカーの入門モデルとも言える356Aの世界を一緒に探求しましょう。
記事のポイント
- ポルシェ 356Aの歴史とその進化
- 356Aの各モデルのスペックと特徴
- 356Aのエンジンの性能と特徴
- 356Aの現在の市場価格とその価値
ポルシェ 356A:その魅力と歴史
- ポルシェ 356Aの起源と開発
- 356Aのモデル概要と進化
- 特徴的なデザイン
- エンジンと性能
- 生産台数と販売期間
- クラシックカーとしての価値
ポルシェ 356Aの起源と開発
ポルシェ 356Aは、1956年に登場したポルシェ 356の後継モデルとして知られています。
このモデルには、5種類の4気筒エンジンが用意され、車両の改良は「テクニカル・プログラム 1」の一環として行われました。
初代 356と異なるAシリーズの外観上の主な特徴は、曲面を持つシングルピースの大型フロントウインドウです。
また、全モデルともポルシェ クレストが嵌め込まれた新しいフロントリッドハンドルを装備しました。
高性能と居住性、実用性の3つを高度に満たした小型スポーツカーであり、第二次世界大戦後の小型スポーツカーの分野における一つの指標となりました。
ポルシェ 356の開発は1938年から開始され、フォルクスワーゲンタイプ 1(通称ビートル)をベースに進められました。
しかし、開発の途中でフェルディナントポルシェ博士が、第2次世界大戦中の軍事開発の責任を問われ、1945年から2年余り戦犯として連合国軍側に拘留されてしまい、開発から離れます。
また、フェルディナントポルシェ博士は当時すでに高齢となっていました。
そのため、実際に 356 の開発・設計を担当したのは、ポルシェ博士の息子である「フェリーポルシェ」ことフェルディナント・アントン・エルンスト・ポルシェと、長年ポルシェ博士の下で多数の車両開発に携わってきたカール・ラーベでした。
1949年から増加試作的量産が開始され、以後約15年に渡り細かい改良を重ねて発展しながら製造販売されました。
356Aのモデル概要と進化
ポルシェ 356Aは、1956年に356の後継として全体的に進化を遂げたモデルとして登場しました。
このモデルには、5種類の4気筒エンジンが用意されました。
それぞれのエンジンの最高出力は以下の通りです。
- 356 A 1300(最高出力:44PS)
- 356 A 1300 スーパー(最高出力:60PS)
- 356 1600(最高出力:60PS)
- 356 A 1600 スーパー(最高出力:75PS)
- 356 A 1500 GS カレラ(最高出力:100PS)
車両の改良は、「テクニカル・プログラム 1」(T1)の一環として行われました。
初代 356 と異なる A シリーズの外観上の主な特徴は、曲面を持つシングルピースの大型フロントウインドウです。
フロントインジケーターはホーングリルに一体化され、また全モデルともポルシェ クレストが嵌め込まれた新しいフロントリッドハンドルを装備しました。
1957年3月以降は、テールライトが“ティアドロップ型”が採用されました。
1300 シリーズは、1958年モデル(T2)で生産が終了しています。
356Aは、356preAから進化し、湾曲したフロントスクリーンやダッシュボード周りの変更など、数多くの洗練を導入したラインの最初の改良版でした。
そして、1959年後半には、356Aはさらなる進化を遂げ、356Bへとバトンタッチしました。
この進化は、車両の改良やエンジンの強化だけでなく、デザインの洗練にも表れています。
例えば、地上高を確保するためにテールパイプの先端がバンパーガード間に配置され、ライセンスプレートライトとリバースライトを備えたクロームメッキによるハウジングは、ライセンスプレート下部に取り付けられました。
また、全ての356シリーズにおいて、オープントップモデル(カブリオレ、スピードスター、コンバーチブルD)が導入されました。
さらに、ハイパフォーマンス・スポーツモデルに“カレラ”の名称が与えられ、“フールマン・エンジン”が搭載されました。
このエンジンは、設計者のエルンスト・フールマンに因んで名付けられ、ベベルギアシャフトで駆動される4本のオーバーヘッドカムシャフト、そして独立した2つのディストリビューターによるデュアルイグニッションが特徴です。
このように、ポルシェ 356Aは、その生産期間中に数々の進化を遂げ、その魅力と人気を高めていきました。
そして、その進化は次世代モデルへと引き継がれ、ポルシェの歴史を築いていったのです
特徴的なデザイン
ポルシェ 356Aは、その独特なデザインで知られています。
初代 356と異なるAシリーズの外観上の主な特徴は、曲面を持つシングルピースの大型フロントウインドウです。
フロントインジケーターはホーングリルに一体化され、また全モデルともポルシェ クレストが嵌め込まれた新しいフロントリッドハンドルを装備しました。
1957年3月以降は、テールライトが“ティアドロップ型”が採用されています。
1600シリーズでは、地上高を確保するため、テールパイプの先端をバンパーガード間に配置しました。
ライセンスプレートライトとリバースライトを備えたクロームメッキによるハウジングは、ライセンスプレート下部に取り付けられています。
356Aは、356preAから進化し、湾曲したフロントスクリーンやダッシュボード周りの変更など、数多くの洗練を導入したラインの最初の改良版でした。
エンジンと性能
ポルシェ 356Aのエンジンは、その性能と独特の構造で知られています。
5種類のエンジンが用意されており、それぞれに特徴があります。
① 356 A 1300
このエンジンは最高出力44PSを発揮します。
そのパワーは、日常のドライビングからスポーツ走行まで幅広く対応します。
② 356 A 1300 スーパー
最高出力60PSを持つこのエンジンは、よりパワフルな走行を求めるドライバーに適しています。
③ 356 1600
このエンジンも最高出力60PSを発揮しますが、排気量が大きいため、より力強いトルクを感じることができます。
④ 356 A 1600 スーパー
最高出力75PSを持つこのエンジンは、スポーツ走行に最適です。
力強い加速と高い最高速度を実現します。
⑤ 356 A 1500 GS カレラ
最高出力100PSを発揮するこのエンジンは、ポルシェ 356Aの中でも最もパワフルなエンジンです。
スポーツカーとしての性能を最大限に引き出します。
これらのエンジンは、ベベルギアシャフトで駆動される4本のオーバーヘッドカムシャフトを特徴としています。
これにより、エンジンは高い回転数でもスムーズに動作します。
また、独立した2つのディストリビューターによるデュアルイグニッションが採用されているので、エンジンの点火タイミングが正確に制御され、燃焼効率が向上します。
さらに、356Aのエンジンは、その耐久性と信頼性でも評価されています。
これは、ポルシェの精密な設計と優れた製造技術によるものです。
その結果、356Aは、当時としては驚異的な性能を持つスポーツカーとなりました。
生産台数と販売期間
ポルシェ 356Aは、1956年から1959年までの間に生産され、その間に20,607台が製造販売されました。
その中でも、特別モデルのカレラは非常に高価格で取引されています。
クラシックカーとしての価値
ポルシェ 356Aは、クラシックカーとしての価値が非常に高いです。
クラシックカー全般的に言えますが、購入の際にはボディコンディションを注意深くチェックすることが必要です。
幸い 356 シリーズは現在でも豊富にパーツが出回っており、維持をするのは比較的容易な部類に入りますが、ボディの錆や腐りに関しては復元に高額な費用がかかってしまいます。
ただ、356 は、クルマとしての完成度が非常に高く、構造もシンプルで丈夫ですので、クラシックカーの入門モデルの筆頭と言えるでしょう。
2009年頃から上昇し出した相場は2015年頃にピークに達し、現在まで維持しています。
現在、欧米では$52,200-167,000の価格帯ですが、市場は現状の価格帯が適正価格と見ているようです。
他の人気スポーツカーブランドのクラシックモデルがプレミアム価格で取引されている中、ポルシェは今まで高い評価を受けていませんでした。
しかし、近年のクラシックカーの高騰の際には注目を浴び、見直された結果、現在の価格相場となっています。
ポルシェ 356A にはカレラ等の特別モデルも存在していますが、それらは非常に高価格で取引されています。
ポルシェ 356Aの各モデルとスペック
- クーペのスペック
- カブリオレのスペック
- スピードスターのスペック
- コンバーチブルDのスペック
- 356Aの新車と中古車の価格比較
- 最高速度と性能
- 日本円での値段
- ポルシェ 356Aの黒:その魅力と人気
- 「アマガエル」というニックネーム
- ポルシェ 356Aとコナンのジン
クーペのスペックと価格
ポルシェ 356Aクーペは、1955年から1959年までの間に販売され、その魅力は今もなお多くのクラシックカー愛好家を惹きつけています。
このモデルは2ドアクーペのボディスタイルを持ち、乗車定員は2名です。
エンジンは空冷水平対向4気筒で、排気量は1,290ccから1,582ccまでの4種類があり、最高出力は42hpから75hp、最大トルクは7.15kgmから11.9kgmまでとなっています。
ミッションは4速MTで、全長×全幅×全高は3,950mm×1,670mm×1,310mm、車両重量は860kg、最高速度は175km/hです。
生産台数は年により異なりますが、1955年には390台、1956年には2,921台、1957年には3,283台、1958年には3,670台が生産されました。
価格については、2009年から上昇し始め、2015年頃にピークに達し、現在まで維持しています。
欧米では$52,200-167,000の価格帯で取引されており、市場は現状の価格帯が適正価格と見ているようです。
特別モデルのカレラ等は非常に高価格で取引されています。
日本で購入する場合も、この価格帯を参考にすると良いでしょう。
カブリオレのスペックと価格
ポルシェ 356Aカブリオレは、1956年から1959年まで販売されていました。
2ドアのカブリオレスタイルで、乗車定員は2名です。
エンジンは空冷水平対向4気筒で、排気量は1,290ccから1,582ccまでのモデルがあり、最高出力は42hpから75hp、最大トルクは7.15kgmから11.9kgmです。
ミッションは4速MTで、全長×全幅×全高は3,950mm×1,670mm×1,290mm、車両重量は880kg、最高速度は175km/hです。
価格相場については、クラシックカー全般的にオープンモデルの方が高額で取引されますが、ポルシェは特に顕著です。
356シリーズでは、オープンモデルの中でもカブリオレは最も価格の低いモデルですが、それでも欧米相場で$72,800-219,000となっています。
日本で購入する場合でも、北米から輸入してくる事が多いため、相場は欧米と同水準と考えていて良いでしょう。
スピードスターのスペックと価格
ポルシェ 356Aスピードスターも、1956年から1959年まで販売されていました。
2ドアのスピードスタースタイルで、乗車定員は2名です。
エンジンは空冷水平対向4気筒で、排気量は1,290ccから1,582ccまでのモデルがあり、最高出力は42hpから75hp、最大トルクは7.15kgmから11.9kgmです。
ミッションは4速MTで、全長×全幅×全高は3,950mm×1,670mm×1,220mm、車両重量は815kg、最高速度は175km/hです。
価格相場については、ポルシェ 356の代名詞となっているスピードスターは、356Aの各ボディタイプの中でも別格の価格帯となっています。
当時発売された際は北米市場向けの廉価版オープンモデルでしたが、クラシックカーとなり逆転した形です。
現在は欧米で$189,000-445,000で取引されており、こちらも日本で購入する場合も同水準と考えておいて良さそうです。
コンバーチブルDのスペックと価格
ポルシェ 356AコンバーチブルDは、1956年から1959年までの間に販売された2ドアカブリオレのモデルです。
乗車定員は2名で、エンジンは空冷水平対向4気筒で、排気量は1,290ccから1,582ccまでの4種類があり、最高出力は42hpから75hp、最大トルクは7.15kgmから11.9kgmまでとなっています。
ミッションは4速MTで、全長×全幅×全高は3,950mm×1,670mm×1,290mm、車両重量は880kg、最高速度は175km/hです。
生産台数は年により異なりますが、1955年には69台、1956年には430台、1957年には542台、1958年には556台、1959年には32台が生産されました。
価格については、コンバーチブルDは高級版オープンとして販売されており、クラシックカーとなった今でもカブリオレより高額の取引となっています。
欧米では$107,000-292,000で取引されています。
日本で購入する場合も、この価格帯を参考にすると良いでしょう。
356Aの新車と中古車の価格比較
ポルシェ 356Aの新車と中古車の価格は、その状態とモデルによりますが、一般的に中古車の価格は新車の価格よりも低くなります。
しかし、クラシックカーの場合、その状態や希少性により、中古車の価格が新車の価格を上回ることもあります。
特に、ポルシェ 356Aのような歴史的な価値を持つ車種の場合、その価格は市場の需給バランスに大きく影響されます。
そのため、ポルシェ 356Aの新車と中古車の価格を比較する際には、その状態や希少性を考慮することが重要です。
たとえば、2009年から上昇し始めたポルシェ 356A クーペの価格相場は、2015年頃にピークに達し、現在まで維持しています。
現在、欧米では$52,200-167,000の価格帯ですが、市場は現状の価格帯が適正価格と見ているようです。
最高速度と性能
ポルシェ 356Aは、その小型ながらも高性能なエンジンと軽量なボディにより、驚くべき性能を発揮します。
その最高速度は175km/hに達し、当時のスポーツカーとしては非常に高速でした。
また、そのエンジンは空冷水平対向4気筒で、最高出力は42hpから75hp、最大トルクは7.15kgmから11.9kgmまでの範囲でした。
これらの性能は、その小型サイズからは想像できないほどのパワーと速度を発揮し、多くの人々を魅了しました。
日本円での値段
ポルシェ 356Aの価格は、そのモデルや状態によりますが、欧米での価格帯は$52,200-167,000(クーペ)、$72,800-219,000(カブリオレ)、$189,000-445,000(スピードスター)となっています。
これを現在の為替レートで換算すると、約6,000万円から5億円程度となります。
ただし、これはあくまで参考価格であり、具体的な価格は車両の状態や市場の需給状況により変動します。
ポルシェ 356Aの黒:その魅力と人気
ポルシェ 356Aの中で特に人気が高いのが黒色のモデルです。
その理由は、黒色がポルシェ 356Aの流麗なボディラインを引き立て、その美しさを一層際立たせるからです。
また、黒色は高級感を演出し、その存在感を一層強調します。
そのため、黒色のポルシェ 356Aは、他の色のモデルに比べて人気が高く、価格もそれに比例して高くなる傾向があります。
「アマガエル」というニックネーム
ポルシェ 356Aは、その独特の形状から「アマガエル」というニックネームで親しまれています。
その名の通り、ポルシェ 356Aの丸みを帯びたボディと大きなヘッドライトは、まるでアマガエルを思わせるような愛らしさを持っています。
この愛らしい外観と、そのパフォーマンスの高さとが絶妙に結びついて、ポルシェ 356Aは多くの人々から愛されています。
ポルシェ 356Aとコナンのジン
アニメ「名探偵コナン」のキャラクター、ジンはポルシェ 356Aを愛車としています。
そのスタイリッシュなデザインと高性能が、ジンのクールで知的なキャラクターを象徴しています。
また、ジンが運転するポルシェ 356Aのシーンは、その車の美しさと速さを見事に描き出しており、多くの視聴者を魅了しています。
ポルシェ 356A について総括
記事のポイントをまとめます。
ポルシェ 356Aは、1956年に356の後継として登場した。全体的に進化を遂げ、5種類の4気筒エンジンが用意された。
356Aの外観上の主な特徴は、曲面を持つシングルピースの大型フロントウインドウである。
356Aは、オープンモデル(カブリオレ、スピードスター、コンバーチブルD)が導入された。
ポルシェ 356Aクーペの価格相場は、欧米では$52,200-167,000である。
ポルシェ 356Aスピードスターの生産台数は、1955年に100台、1956年に850台、1957年に1,416台、1958年に556台、1959年に32台である。
ポルシェ 356AコンバーチブルDは、高級版オープンとして販売され、クラシックカーとなった今でも高額の取引となっている。欧米では$107,000-292,000で取引されている。
ポルシェ 356Aは、クラシックカーの入門モデルの筆頭と言える。クルマとしての完成度が非常に高く、構造もシンプルで丈夫である。
ポルシェ 356Aの購入の際には、ボディコンディションを注意深くチェックすることが必要である。
参考